裁判傍聴とSOC(首尾一貫感覚)

5月12日の裁判傍聴を体験すれば、人生観が変化します。一言で言えば、SOC(Sense of Coherence:首尾一貫感覚)が身につきます。

 1970年代に、医療社会学者のアーロン・アントノフスキー博士は人間の「健康」を形成する要因を探るため、第二次世界大戦中のナチス・ドイツ占領下でユダヤ人の大虐殺が行われたポーランド・アウシュビッツ強制収容所から生還した人たちの調査をしました。
生還者の多くは一般にあまり長生きできなかったことが知られています。これは強制収容所のような悲惨な体験による過度のストレスに長期間さらされたことにより、心身のエネルギーを消耗してしまったためだと考えられます。
ところが、生還した中には、その後も心身ともに極めて良好な健康状態を保ちながら、余生を送った人たちもいました。博士はその集団の性格特性を精緻に分析し、その結果、その人たちにはある共通した感覚が他の人たちに比べてより強い形で備わっていることを突き止めました。それが「SOC」です。
以下は生還者のうち、SOCが高かったある人のインタビューの一部です。
私にとってこれらの事件(第二次大戦)は生々しい記憶ですが、それは特に私だけにあてはまるものではありません。私たち全員に起こったことだからです。私は地下組織に参加し、武器の使い方を学びました。そのおかげで正気を保っていられたのです。私は悲観的で、私もみんなも全員が生きて強制収容所から出られることはないだろうと思っていました。でも、自我を捨ててまで、ただ生き続けることが良いとも思いませんでした。強制収容所において死は集合的な事件であり、1日単位ではなく、一瞬のうちに起こりました。ただし、私たちは集団で隔離されていましたので、死が私個人に向けられることはありませんでした。(男性、50歳)
今度は逆に、生還者の中でも、SOCが低かった人のインタビューです。
第二次大戦後、私はユダヤ人の男性と最初の結婚をしました。子供を産み、人生をその娘に捧げました。ひどい罪悪感や不満をいつも抱いていました。私は全てをあきらめました。自分の仕事にも満足していません。いつもストレスを感じています。自分の立場を守り、多くの動物と同じように、誰からも傷つけられないようにしなければいけません。人生は戦いの連続です。ひたすら重荷を引きずって生きていかなくてはならないのです。(女性、59歳)
この2人は同じ強制収容所という過酷な境遇を生き抜きましたが、困難に直面した際の対処方法には大きな開きがあることが分かります。SOCの強い人は大きなトラウマ(心的外傷)を経験しても、驚くほどうまく対処しているのです。アントノフスキー博士はその「困難を乗り越える力」の構成要素を「有意味感」「全体把握感」「処理可能感」という3つの感覚で説明しています。

出典:精神科医が教える「人生詰んだ」ときのための3要素:日経メディカル

震災から5年で死んだ人もいますし、犯罪者に堕ちた人もいます。時間は誰にとっても平等です。成功しなかったのなら、より失敗した人を知ればいい。良い時は上を、悪い時には下を見る。SOC(Sense of Coherence:首尾一貫感覚)を身につけるチャンスは非常に少ないですね。

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